top of page

成長期の膝蓋腱・ハムストリングスT-junction損傷・アキレス腱症の硬さ【JET的論文レビュー 2026年9月20日号】

9月20日
読了時間: 4分

運動器エコーの新しい論文から、柔道整復の現場で読んでおきたい3本を選びました。成長期の膝蓋腱、ハムストリングスのT-junction、アキレス腱症の硬さです。

執筆・監修:今西博昭(柔道整復師・日本柔道整復接骨医学会 認定柔道整復師/JET発起人)

※ここで紹介する内容は論文の要約とJETとしての読み方です。個々の患者さんの評価や判断は、柔道整復師の業務範囲の中で行い、必要に応じて医師と連携してください。

1. 中学生サッカー選手の膝の痛みと結びついていたのは「低エコー」の所見

国内(日本)|PLOS ONE(2026)|キーワード:膝蓋腱・ジャンパー膝・成長期

中学生サッカー選手140名(280膝)を対象に、膝蓋腱の形態所見と腱の痛みの関係を調べた国内の横断研究です。

研究のポイント

  • 解析対象は211膝。痛みは視覚的アナログ尺度と圧痛で確かめ、身体機能の検査も行った。

  • 痛みのある膝では膝伸展筋力が低く、低エコー所見とドプラ所見をもつ割合が高かった。

  • 低エコー所見は腱の痛みと関連していた(調整オッズ比 10.65、95%信頼区間 3.65〜31.88)。他の形態や機能の指標では、はっきりした関連はみられなかった。

JET的考察

成長期の膝の痛みを診るとき、圧痛や筋力だけでなく腱の中の見え方を残しておくと、経過を追う材料になります。低エコー所見は健側との比較で読みやすく、同じ肢位・同じ断面で記録する習慣が生きる場面です。

読むときの注意

横断研究のため、所見が痛みの原因かどうかは分かりません。著者も縦断的な検討が必要としています。

論文情報

Yasuura Y, Fukumoto T, Yamano H, ほか. Association between patellar tendon-related pain and morphological abnormalities of the patellar tendon visualized using ultrasound imaging in middle school athletes. PLOS ONE. 2026.

所属:畿央大学大学院 健康科学研究科 ほか

2. ハムストリングスのT-junction損傷を、ジムでの運動中に動かしながら見る

海外(スイス)|International Journal of Sports Physical Therapy(2026)|キーワード:ハムストリングス・肉離れ・動的評価・復帰判断

大腿二頭筋の遠位筋腱移行部(T-junction)を損傷したサッカー選手で、運動中に動的エコーを行った症例報告です。

研究のポイント

  • 23歳の男性選手。高速の方向転換で受傷し、MRIでは浅層(筋腱部)と深層(筋腱膜部)の断裂と判定された。

  • 受傷3週・6週・9週の3回、片脚バーベルルーマニアンデッドリフトと片脚ハムストリングスライダーを行いながらエコーで観察した。

  • 回を追うごとに長頭と短頭の動きのそろい方と瘢痕の治癒が進み、選手は10週で復帰。その後4か月の追跡で再受傷はなかった。

  • 著者は、片脚デッドリフトの方が二頭の動きを観察しやすかったと述べている。

JET的考察

静止画像では分かりにくい「動きのそろい方」に注目した報告です。復帰の判断材料を増やす考え方として参考になりますが、観察する肢位と課題を決めておかないと比較できません。手順をそろえることが前提です。

読むときの注意

対照のない1例の報告です。著者も、信頼性・妥当性・予後予測の価値は今後の検証が必要としています。

論文情報

Zanovello M, Franco Cordero J, Suarez-Arrones L, ほか. A Novel Dynamic Ultrasound Assessment of T-Junction Hamstring Injury during Gym-Based Exercises: A Case Report in an Elite Football Player. International Journal of Sports Physical Therapy. 2026.

所属:FC Lugano パフォーマンス・メディカル部門 ほか(スイス)

3. アキレス腱症のランナーは、足関節の角度をそろえて測ると硬さが低く出た

国内(日本)|Frontiers in Sports and Active Living(2026)|キーワード:アキレス腱・腱症・剪断波エラストグラフィ・肢位

中央部アキレス腱症のランナーと対照のランナーで、足関節を他動的に背屈させながら剪断波速度を測って比べた国内の研究です。

研究のポイント

  • 腱症群12名・対照群11名。うつ伏せ・膝伸展位で、底屈30度から最大背屈の80%まで毎秒1度の速さで動かした。

  • 腱の剪断波速度は底屈10度・5度・0度で腱症群が低く、0度では 9.15 対 11.30 m/秒だった。

  • 腓腹筋内側頭とヒラメ筋は調べたすべての底屈角度で腱症群が低く、外側頭では差がみられなかった。

JET的考察

同じ部位でも足関節の角度で測定値が変わることを示しています。硬さや太さを左右で比べるときは、肢位と角度をそろえて記録することが前提になります。測定機器がなくても、肢位を決めて観察する考え方は日常の評価に生かせます。

読むときの注意

各群とも10名台の小規模な横断比較です。腱症の診断や治療効果の判定に使える指標とまでは言えません。

論文情報

Kunita Y, Ikeda N, Nishioka T, ほか. Ankle-angle-dependent shear wave velocity of the Achilles tendon and triceps surae during passive dorsiflexion in runners with Achilles tendinopathy. Frontiers in Sports and Active Living. 2026.

所属:慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科 ほか

毎週水曜に最新号をお届けしています

JET的論文レビューは、運動器エコーの新しい論文から毎週3本を選んで解説しています。メールで受け取りたい方は 無料の配信登録 から。過去の号は 論文レビューのページ でも読めます。

セミナーアーカイブや手技動画で体系的に学びたい方は、JET Academyの入会案内 をご覧ください。

コメント


bottom of page